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Histoire de mille nuits 06

06_パイ皮しか敷かないとすれば。

「パイとは、私にとって、かならず上にパイ皮をのせて焼いた食物である。とくに果物がいっぱいつまっているなら、上下ともに皮があってもいい。しかし、底にパイ皮しか敷かないとすれば、それはタートだ。…フランスでは、タルトとはタートのことで。上の皮がなく、あけすけな感じがする。」(アップルパイ、M・F・K・フィッシャー、集英社)タルト(TARTE)とは、上質の生地に果実やクリームなどを詰めて焼いたもので、味の面からは「タルト・シュクレ(TARTE SUCREE)」 と「タルト・サレ(TARTE SALEE)」 に分けることができます。タルト・シュクレは「甘味のタルト」で、デザートやティータイムの菓子として供されます。タルト・サレは「塩味のタルト」で、軽い食事や前菜に供されます。これらの甘味と塩味のタルトは、形の上からは「生地+素材+クリーム」というような同じ構成になります。つまり、タルトとは生地に各種素材を入れて、素材に適した味つけ「甘味と塩味」をしたものの総称と考えられます。ただ、タルト・シュクレとタルト・サレでは用途が異なります。タルトに欠かせないのがクリーム類で、とても重要な要素です。タルト・シュクレにおけるフランやクラフティ、カスタードなどのクリーム類とタルト・サレでのクリームには素材と風味での違いはあるものの、クリームの作り方には類似点があります。どちらも生クリームや牛乳、全卵などを主体とするもので、これは大変に興味深いことです。タルトを形から考えてみると、トゥルト(TOURTE)と呼ばれるものがあります。これは「上生地をかぶせたタルト」というもので、英国でのパイPIEにあたるものです。これらのタルト類はどの分野の人が担うものでしょうか。タルト・シュクレはパティシエ (菓子職人)の役割です。そしてタルト・サレ、キシュなど捏粉の分野もパティシエの仕事といえます。野菜や肉類、魚肉などの素材は、菓子を専門とする人々には異質に感じるでしょうが、これらも調理法を理解すれば取り入れることができる範囲のものです。とくにタルト・サレの商品は洋菓子店での昼食などの料理メニューとして取り入れることができます。また、ティク・アウトなどの商品としても活用ができます。パティシエの仕事は「甘味のみ」と固執せずにレパートリーを広げるために試みてもらいたいです。そこで、チーズのタルト、カマンベールチーズを詰めて全卵と生クリームのアパレイユを注いで焼くものを以下紹介します。

TARTE AU CAMEMBER / カマンベールチーズのタルト

カマンベール375g、全卵4個、生クリーム100ml、塩/胡椒適量、パート・ブリゼ250g

パート・ブリゼを厚さ3ミリに伸して、浅いタルト型にしき込み、生地の底を十分にピケします。カマンベールは表面のかたい部分を切り取り、八等分にします。アパレイユを作ります。ボウルに全卵を入れ泡立器で軽くほぐしたあと生クリームを混ぜて軽く泡立てます。塩、胡椒を加えて味をととのえます。先に用意した生地にカマンベールを詰めます。この上からアパレイユを注ぎ入れます。高温のオーブンで、40~45分間を目安に焼きます。カマンベール(CAMEMBERT)はフランス・ノルマンディー産ソフトタイプのチーズで乳脂肪が45~50%。他のソフトタイプのチーズでも同様に作ることもできます。例えばマロワール(MAROILLES)やブリー(BRIE)など。これらを使う場合、上記配合のカマンベールをそのままマロワールやブリーに代えれば良いです。生地をブリオシュに代えるのも良いでしょう。タルト作りは工夫次第。

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