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Baguettes sandwich 04

04_サンドウイッチ侯爵登場

それはそうと、私が発明した最初のサンドウィッチは、ローストビーフをはさんだものと言われています。確かに、これがサンドウィッチだ、と認識したのはローストビーフのサンドウィッチではあるけれど、それまでには何回となく、色々な材料を試したものです。

サンドウィッチというものを考えついたというか、何となく閃いたのはいつのことかといえば、ある夜のこと。この偉大な日。そう、その日も私たちはトランプに熱中していた。これがいけなかった。後世の人々が、トランプに熱中していた結果、サンドウィッチが生まれたと書く理由となってしまった。もし、仮に、私が庭を散策していて、ふと、サンドウィッチを考えたとしたら、こうも悪口は言われないですんだだろう。本当に残念だった。

その夜遅く、私は空腹をおぼえた。そこで、夜食をと考えて給仕人に命じて、 サラダやハム、冷肉などの料理とパン、 それに飲み物を持ってこさせたのです。給仕人が、それぞれの客人に好みを聞いて給仕した。私は、そう、一番の好物であるローストビーフとサラダ、それにパンを求めた。食べようとしたら、私の番になった。何とも惨めな恰好をしていた。フォークを片手に、カードを片手に。行儀が悪いなんてものじゃない。その時、何かが閃いた。私の頭の隅のほうに何かひっかかるような考えが生まれたんだ。だけれど、何だか分からない。考えた。長い間。フォークとカードを持って。カードの手を考えていたのか、あるいは・・・、そして、ついにカードをパンにもちかえてローストビーフをのせてしまった。長い、本当に長い一瞬だった。これがサンドウィッチの生まれた瞬間だ。とは、私も、誰も考えなかった。パンの上に肉をのせるなんて。なんてことだ。持っていたローストビーフをのせたパンを皿に返してしまったほどだ。しかし、次の事が重要だった。このローストビーフをのせたパンを給仕人が小さく切ったのだ。どうしてなのかは分からない。食べやすいようにと考えたのだろう。なるほど、これならナイフは不要だし、ちょっと恥ずかしいが、手で持っても食べられる。

Cold Roast Beef Sandwich / コールド・ローストビーフ・サンドウィッチ

通常のサンドウィッチ用のパン(フワフワしたパンは向きません)かライ麦パンを用意して、薄くバターをぬります。ローストビーフの薄切りをのせて、もう一枚のパンをかさねます。軽く押さえて、好みの形に切り分けます。レタスとジャガイモのサラダを添えて供します。ローストビーフのサンドウィッチ、いいですね!おいしいですよ。

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