Histoire de mille nuits 10

10_冷たい飲み物、シャーベット。

暖かな春の、午後の、厨房でのお茶の時間、自家製アイスクリームはいかがかな?と誘われて、それならフレーズ・デ・ボワのアイスクリームを、とお願いしました。シェフは手を挙げて、アイスクリーム、フレーズ・デ・ボワ!!と一言。いつもであれば、10分もすれば現れるのですが、30分、1時間が過ぎても、まだ現れません。もしかしたら忘れたのかな?と思いつつ、話をしていると、アイスクリームカップとスプーンを手に慌てて走って、フレーズ・デ・ボワのアイスクリームです!お待たせしました、いま、廻したてです。と、にこやかにほほ笑む若い人。アイスクリームやシャーベットはフリーザにかけてから容器などに詰めて冷凍庫で凍結します。この凍結したアイスクリームを少し柔らかくしながらスプーンなどでカットしたりします。型に詰めて凍結したアイスクリームが、供する時にうまい具合に整っていないと皿の中で転げることになります。フリーザーにかけて凍結した、作り立て、廻したてのアイスクリームは舌触りがなめらかで、うっとりする美味しさです。この味は、オーブン前で焼きたてのスフレを食べるのと同じような感触です。「アイスクリームの機械は、皆様御承知の通り、桶の中央に金属製の筒が有って、此の中に固めんとする材料を入れ、其の廻りに氷と塩を入れ、取っ手を回転するに連れて其の廻り、氷の為に自然に冷えて固まるという仕組みで御座います。塩は充分に入れませんと、容易に固まりませんで、氷1貫目に付き、塩3、4合というのが普通で御座います。氷は細かに砕いて桶の底に一面に並べ、塩を撒いてまた氷を入れると様にして、塩と氷は好く混ぜ、簡単に言えばぶっかき氷の塩合へと云う様に致します」(年代不詳、家庭向け料理書より)ラズベリーシャーベット(Sorbet aux framboises)[ソルベ・オ・フランボワーズ]ラズベリーピュレとリキュール風味のシャーベット。

ラズベリーピュレ1000ml、シロップ(ボーメ30)800ml、レモン果汁2個分、ラズベリーリキュール40ml

ラズベリーピュレとレモン果汁、シロップ、ラズベリーリキュールを混ぜます。糖度計で所定のボーメ17~18度となるように、糖度が高ければ水を、低ければシロップを加えて調節します。このあとフリーザーにかけて凍結します。ほどよい硬さに凍結したら、フリーザーから取り出して、殺菌した容器に移し入れるか、型詰めして冷凍庫で凍結します。ボーメ30度のシロップは、水1000mlに対して砂糖950gを加えて沸騰させたもので、およそ熱のとれた状態で糖度計ではかります。後日談フレーズ・デ・ボワのアイスクリームはメニューにはなかったようです。しかし、シェフの注文とあれば、メニューにないとは言えないので、あわてて作り始めたとのことでした。この後、機会があるごとにフレーズ・デ・ボワのアイスクリームを探すのですが、なかなかメニューにあらわれません。これはすでに幻のアイスクリームとなってしまったのでしょうか。

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洋菓子千一夜物語
10点

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