Histoire de mille nuits 08

08_においで道案内。

「駅の改札を出たら、パンのいい香りのする方に向かってみてください。階段を下ると、シナモンの香りがするはずです。そこのパン屋で待っています。」待ち合わせ場所を、こんなふうに伝えてみたいものです。匂いで道案内。楽しそうなあそび。「ふだんわれわれは、嗅覚と味覚とを分けて考えているが、この二つの感覚を区別することは必ずしも容易でない。陸棲動物にとって味覚は水に溶ける物質のみを感じるが、嗅覚は空気により伝達される。たとえば砂糖は舌で味わえるが、ふつうの温度では揮発性がないのでニオイはしない。しかしながら、もし砂糖液を鼻の中の感覚組織上に直接たらしたならば、砂糖もにおうことだろう。人間にとって基本となる味は四つしかない。それは甘味、酸味、塩味、苦味である。このほかの風味などと呼ばれているものはすべて鼻を通じて感じられるニオイである。」(ニオイの世界、ロバート・バートン著、高木貞敬訳、紀伊国屋書店)「パリでは存分に食べないとえらく腹がへってしまう。どのパン屋のウィンドウにも美味しそうなパンが並んでいるし、戸外の歩道のテーブルでもみんな食事をしているので、いやでも食べ物が目に入り、その匂いをかぐことになるからだ。」(移動祝祭日、ヘミングウェイ、高見浩訳、新潮社)ある時、パンの醗酵生地を捏ねていて、めん棒で伸してみると、なんとなくピザのようで、オリーブやナッツや、トマトなど、並べてみたくなりました。焼いてみると、それなりに良い感じでした。いろいろなものを並べなくても、グラニュー糖とバターさえあれば、ガレットができます。いつも生地が余る時に作ってみるのですが、焼ける時の匂いは最高です。ガレット・ペルジエンヌ(Galette perougienne)ガレットとは、丸くて、平たい円形の形を指して、パート・フィユテやパート・ルヴェなどで作られます。このガレット・ペルジェエンヌはイースト醗酵した生地をうすく伸すもので、伝統的なスタイルとシンプルな配合の甘味パンといえます。薄力粉200g、ドライイースト10g、バター200g、全卵1個、レモン皮1個、塩少々、グラニュー糖100g、水100ml、薄力粉とイーストを混ぜます。ここにバター110gと全卵、レモン皮のすりおろし、塩、砂糖20g を混ぜます。よく捏ねて、なめらかなパート状とします。ひとまとめにして1時間ほど醗酵させます。手粉をふった台に移して、めん棒で円形に薄く伸します。これをテン板に移して、残りのバターを小さく千切って散らします。さらに残りの砂糖をふりかけます。温度 230℃のオーブンで、10~ 20 分間を目安に焼きます。オーブンから出したら、砂糖をふりかけて温かいうちに供します。こんなに同じ扉が並んでいるのに、どうして部屋がわかったのですか。え、ガレットの匂いを辿ってきたのですか?。そうですか、まあ、迷わずに、無事に着いてよかったです。それにしてもすばらしい鼻をお持ちですね。

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洋菓子千一夜物語
10点

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