Histoire de mille nuits 04

04_私はこれをハサンに教えたのです。

今回はざくろの菓子とシャーベットについてです。ざくろの実は赤くきれいですが、これを使ったレシピは、なかなかみつかりません。実は種もあり、果汁にして使うのでしょうか。おなじような果実にパッションフルーツがあります。この果実を初めて見たときには、どうやって使うのかわかりませんでした。スプーンですくって、「種も食べる?」まさか。珍しい果物も流行となり、パック詰めのピュレが使われるようになりました。家庭に伝わる、懐かしい、想い出の味。千一夜の「ハサン・バドレディン物語」には母親から伝授されたという「ざくろの菓子」が登場します。また、「おいしいシャーベット」もでてきます。はるか昔の物語ですが、砂糖菓子や練粉菓子なども記されていて、それらを想像するのも楽しいです。さて、料理や菓子の作り方、味を伝えようとすると、とても大変なことだと気がつきます。「ほら、この味」と生地を手渡してみても、実際、どこまで伝わるのでしょうか。同じレシピでも、作る人によって、微妙に味が変わります。卵と砂糖を泡立ててみても、見た目は同じように見えても、まったく同じ状態ではないでしょう。これが料理、菓子をつくる面白さです。「アッラー、このざくろの菓子を作ったものは、わが子ハサン・バドレディンをおいてほかになく、ほかの者でありようはずがありませぬ。これをこういうふうに作れるのは、私ひとりのほかになく、私はこれをハサンに教えたのです」(千一夜物語・佐藤正影訳・ちくま書房)。 家庭で子供に伝えておきたい料理、菓子はどんなものでしょうか。なにか、ひとつでもいいですから伝えておきたいですね。昔でしたら「ご飯を炊く」「味噌汁を作る」「漬物を漬ける」「干し柿をつくる」「お雑煮をつくる」などでしょうか。今の時代でしたら「パンを焼く」「カレーを作る」「サラダを作る」「ロールケーキを作る」なども家庭の味になるのでしょうか。「そこで食べたものときたら、とてもうまくて…、おいしいシャーベットも飲んだっけ。…。そのじょうずなお菓子屋さんは、おばあさんみたいに、お砂糖を倹約しやしなかったよ」(同上)シャンパンのグラニテ、赤い実の果実添え(GRANITE CHAMPAGNE AUX FRUITS ROUGES)。グラニテはイタリア語のグラニータからの発祥であり「細かい粒状」を意味しています。冷蔵庫や冷凍庫を使って、凍りかけた液体をシャカシャカとかき混ぜて、さらに凍らせて、これを繰り返していくとグラニテとなります。かき氷のとても細かいもの、と考えればよいのでしょう。暑い夏、厨房で、グラニテの手作りを見てました。冷やしたシャンパングラスに赤い実の果実類と、スプーンカットしたグラニテを入れて、ミント葉を飾ります。最後に冷やしたシャンパンを注ぎます。きれいでしょう、香りも味も最高です。うゎ、おいしい!!。グラニテは、シャンパン、水、砂糖をそれぞれ250g、グレープフルーツ3個。手鍋で砂糖と水を沸騰させて、そのまま冷やして、シャンパンとグレープフルーツ果汁を混ぜます。これをソルベティエールにかけてグラニテ状にします。家庭でも薄いバットに液を流して、冷蔵庫や冷凍庫で凍らせて作ることもできます。まずはレモン水やオレンジ果汁などで試してみてください。

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洋菓子千一夜物語
10点

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