フロランタン(1)

加熱生地(マス・ロティ)。フロランタンにも幾つかの配合例があります。しかし、まず最初に、その原型ともいうべきものを紹介します。これは、2つのアパレイユから作られます。

1番目のアパレイユ
砂糖350g、生クリーム300ml、バター30g、アーモンド粉200g、薄力粉50g、オレンジコンフィ150g
2番目のアパレイユ
砂糖150g、水アメ100ml、生クリーム100ml、卵白50ml、アーモンド(くだき)100g、薄力粉少々、チェリー(きざみ)100g

両方のアパレイユとも同じ方法で作りますが、まず、1番目のアパレイユを用意します。手鍋にバターを入れて、直火にかけて煮溶かしてから、生クリームと砂糖を加えて、煮溶かしながら、温度115℃まで煮詰めます。ここにアーモンド粉と薄力粉、オレンジコンフィ(砂糖漬け)の刻んだものを加えて、スパテラで丁寧にかき混ぜながら、アパレイユが鍋はだから剥がれる程度まで煮ます。

このアパレイユを、油をうすくひいたテン板に適当な大きさに盛ります。これはわずかに流れて広がります。きれいな形の円形となるようにします。2番目のアパレイユを前記と同様に用意して、それぞれの中央に、小高く盛りつけます。温度180~200℃のオーブンで焼きます。オーブンから出したら、スパテラで剥がして、平らな場所で冷まします。後、底面に貝殻状の波模様をほどこしたクーヴェルテュールをぬります。

この菓子は、洋菓子店のスペシャリテともいえるものです。その特徴は、カリカリとした味わいにあるのですが、これを引き出すには、糖分として砂糖のみを用います。蜂蜜を使用したもの(類似の配合)では、すぐに軟らかくなり、これらは何らかの生地の上に流したりしなければなりません。

第1番目のアパレイユと2番目のアパレイユでの、配合における砂糖量はゆるやかに流れる程度に調整されています。この2つのアパレイユにより、帽子の形で真ん中がいくらか高くなり 砕いたアーモンドやチェリーが外に向けて突き刺さるようになります。

マス・ロティ(Masses roties)は、英名では「Precooked mixtures」と呼んでいます。英語の言葉のとうりに、あらかじめ「乾燥材料と水分」を調理(加熱など)して、さらに焼成して形(商品)を得るもので、代表的なものとしては「フロランタン」があります。

フロランタンを例にとってみると、最初の調理過程(煮詰める)では、アーモンドや果実類などの乾燥材料と砂糖やバター、生クリームなどの水分が溶け合って、まとまりのあるアパレイユとなっています。この状態では、水分が「材料をつなぐ」役割をはたしています。しかし、再び、加熱(オーブンでの焼成)することで水分は余分となり、蒸気となって失われます。あとには、再び、乾燥材料が残ります。

フロランタンのように焼き上がりが「平らな形」とするものは、結合する材料は、とくに必要としません。乾燥材料がごく少量であれば、結合材料として卵白を加えれば、自然に調和して形を作ります。このようなものは、「ごく薄い」ものとなります。しかしながら、「厚め」の形にするには、どうしても結合材料として卵白や小麦粉などが必要となります。この例としては、セバストポルやココナツの加わったマカロンなどです。小麦粉を加えると、味わいが幾らか減じることになりますが、加える量が少なければ、味覚上の点よりも「つなぎ」としての効果に利点があります。

乾燥材料としてはアーモンドやヘイゼルナッツ、各種の砂糖漬け果実類や果皮などがあります。これらは細かくきざんだり、小片や粉状として加えられます。すべての配合における決定的な要素は、これら乾燥材料に対する砂糖の割合といえます。さて、この砂糖は糖分と考えれば、砂糖の代用として蜂蜜を使うことができます。また、他の糖分(転化糖、人造蜂蜜など)も使うことができます。これらは、いずれも味覚に影響はありません。

バターや生クリームは砂糖の量とのつりあいから加えられます。良質のアパレイユに加えられる少量の油脂類は、商品に「食感のなめらかさ」を生み出しますが、逆に油脂はもろい組織を作りやすく、砂糖とからまりあってカラメルのような香味をあたえます。このような点を考えれば、バターや生クリームは質の高い、純正商品を使うべきです。

マス・ロティと少し似ているものに、すり込み生地があります。前記の「絞り生地」で詳しく紹介しましたが、この生地はあらかじめ加熱することがありません。しかし、オーブンでの焼成においては、アパレイユをつないでいる水分を蒸発させながら、小麦粉やナッツ類などを焼成調理します。

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