MORRIS COMPANY .LLC
料理人と仕事 デジタル電子書籍:113ページ(原本より計算)
配信元:Amazon
販売価格:500円(税込価格)
著者:木沢 武男
発行 : 有)モーリス・カンパニー
「メニューをみせて下さい」
このときの〝メニュー〟は、献立帳のことでしょう。英米では、たいていメニュウというし、フランスでは、一般にカルトという。トランプや葉書のこともカルトだから、つまりカードの意味だ。この〝カルト〟に書いてある料理から、食べる人が一品ずつえらぶのが〝ア・ラ・カルト〟です。ちなみに、ドイツではカルテ、医者のカルテと同じ。イタリアではリスタ、つまり料理のリストと言っている。
「今日のメニューは、ブルターニュ風のつもりで、ととのえました。はじめにアーティチョークのナテュール(塩ゆで)、これはバターソースで。つぎが、ドーバーソールのグラッセ。そのつぎがプレ・サレのロースト。そしてデザートは、おたのしみ……」
映画なんかで、その家の女主人が、招待客に言っている場面があるでしょう。このときの〝メニュー〟は、フランス語のムニュ。英語のメニュウ。その日の献立であり、日本でいうフルコースの意味だ。これには、少なくとも、オードブル──メインディッシュ──デザート、の三品がある。ひとつの〝一回分の食事〟のことです。したがってレストランでは、〝定食〟をさすことも多い。
だから外国で「メニューをみせてください」のつもりで、「メニュー・プリーズ」と言うと、メニューがこないで、料理がきた、ということもなくはない。日本では、どちらの意味にも使います。そこで、メニューという言葉は、〝きょうの献立〟と考えていい。それが、一品料理かフルコースか、つまりア・ラ・カルトか定食か、それは、その店によってちがいます。
「メニューの前に」はamazonのKindle unlimitedにも登録されておりますので、アカウントをお持ちの方はそちらを利用してお読み頂くことも可能です。