料理人の五感

電子書籍:71ページ(原本より計算)
配信元:Amazon
販売価格:350円(税込価格)
著者:木沢 武男
発行 : 有)モーリス・カンパニー

料理人の目は、なにを見るか、耳は、なにをきくか。鼻は、なにに気づかせ、手ざわりは、なにを語るのか……。

「赤のキャンドルもってこい」、もってきたのが茶色ではこまる。
トマトの裏ごし(クーリ)と、煮こんだトマトソースがならんでいる。
「あのぅ、クーリはどっちでしょう」、これもこまる。
料理人の目は、色は色のとおりに見えること。
近視・遠視・乱視、こちらのほうは、調整できる範囲にあれば、あまり問題はない。
その場合、めがねにするか、コンタクトにするか。
火をつかう料理人は、めがねのほうがいいです。汗をかくと、目のなかに汗が入るでしょう。
ふつうは、涙が異物を洗いおとすが、コンタクトでは、それができなくて、目が痛くなったり、充血したりする。

だけど、めがねでは、鍋のふたをあけたとき、レンズがくもってしまう。だから、くもりどめのレンズを入れるか、または一時しのぎに、液体洗剤をぬるわけだが、湯気でなくとも、調理場には、空気中に油の飛沫があって、これもレンズの表面をくもらせる。コンタクトのほうは、くもらない。しかし、どちらにしても一長一短。そのたびに何かしなければならないのだから、もともと目が良いに越したことはない。

〝見る〟ことは、だれにでもできる。料理人の〝見る〟ことのひとつは、単純に、見ること。もうひとつは、見ることで、料理している状態を確認することです。
たとえば、鶏の脚を一本のまま煮込むとき、煮えるにしたがって、身がちぢむ。したがって、脚くびに二〜三センチ骨が出たとき、「これぐらい骨が出ていれば、煮えている」と、見て、わかる。
また、ローストなどは、鶏、仔牛、豚などであれば、串をさして、焼けぐあいをみる。串をさした穴から出る汁をみて、「肉汁が、すきとおっているから、もう火が通っている」「汁が乳白色だから、まだ」と、見てわかる。
牛、羊などは、なかをピンクに仕上げる。だから、ローストビーフの断面を見て、「このピンク色は、熱がとおったピンクである」または「熱がとおってない、生の赤味である」と判断できる。
このほかにも、濃度のあるソースなど「ここまで煮つまったら、もうすぐ焦げる」、鍋のふたの裏に、蒸気がたまっていれば、「しずくがおちたら、このスープは、すぐ悪くなる」など、〝見る〟ということのなかに、仕事の確認がおこなえること、それが「料理人として見る」作業です。

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