MORRIS COMPANY .LLC
国内野菜をイタリア式調理法でA5版
184ページ(カラー48ページ)
ベジ・ダイニング研究会
農業&流通:おいしい本物を食べる会 髙階富美子
料理する人:アッラクチーナデルソーレ 伊崎裕之
食べる人の立場で:三人の野菜研究会 森守
栄養学解説:愛知みずほ大学大学院教授 土田 満 共著
発行 : 有)モーリス・カンパニー
食べる人には ー 栄養によくおいしく
料理する人には ー 調理法や味つけの幅が広く日保ちよく
畑で作る人には ー 育てやすく収穫期が長い
そんな「三人に都合のよい野菜」には、どのようなものがあるでしょうか。これを探しながら、八ヶ岳の畑でイタリアふだん草(ビエタ/ビエトラ。二年草の青菜)、白花さや豆(さや豆でも干豆でも食べられるスパーニャ・ビアンコ)、キオッジア(葉量が豊かなビーツ)などを試験的に栽培・販売していました。その過程で気づいたのは、いかに優れた野菜でも、その野菜でなければならない代表料理の一つ二つが世に広く知られてこそ、初めて野菜の需要も安定し、農業として循環するということでした。
レストランの野菜料理が成功する要素は二つ、「目新しい野菜」と「よいメニュー」です。目新しさはそれだけで充分に商品ですが、「よいメニュー」とは具体的に何をさすのでしょうか。あるとき、伊崎さんと仕事の合間に、「肉や魚と同列でチョイスできる野菜だけのメインディッシュ」について話す機会がありました。
同列というのは、主材料をA肉、B魚、C野菜にして三皿のメイン料理を作ったとき、食べる人がどれを取ろうかと迷うくらい、C野菜の皿が見た目よく香りよく、工夫もおどろきもあり、量も充分で、味わいにすぐれ、食べすすむ楽しさもあり…と頭の中に見える「よいメニュー」の姿を言葉にしていると、「力強い野菜料理、ですよね」と伊崎さん。
「それです!」というわけで急きょ「国内産の野菜をイタリア式調理法で」を基本に、畑のビエタとビーツの料理を「野菜とチーズのイタリアン」と名づけて案内。野菜流通の髙階さんをお誘いして、三人の共催となるベジ・ダイニング研究会がスタートしました。2002年11月のことです。
各回のテーマ野菜は、目新しい品種(ロマネスキ、黒キャベツ ほか)、地方の伝統野菜(十全なす、月山筍、ずいき ほか)、栄養素特徴のある野菜(生落花生、すべりひゆ、モロヘイヤ ほか)、三人に都合のよい野菜(ふだん草、白花さや豆、ビーツ ほか)、時期と加工に特徴のある野菜(スプラウト、摘果、大豆テンペ、干湯葉、干ひじき ほか)など。
晩秋の畑で育つビエタ、ビーツ、カルドンの代表料理を楽しんだ初回。
大麦とビエタのスープ
カルドンの白ワイン煮
昆布大根の雑穀トマトソース
ビエタと魚介類の生トマト煮
ビーツのリゾット、ゴルゴンゾーラ風味 (全8品)
花の蕾を食べるアブラナ科野菜と、大豆発酵食品テンペの特集。
チーマ・ディ・ラーパと蛤のスープ煮
チーマ・ディ・ラーパとテンペのイタリア風
蒸しロマネスキのバーニャカウダ
揚げテンペのカルピオーネ
テンペのチーズグリル (全10品)
初夏の実り、菜豆(さや豆)と大豆発酵食品テンペの特集。
えんどう豆と甲いかのトマト煮
オレキエッテのそら豆ソース
テンペと山えのき茸のポルペッティ
揚げテンペのカポナータ
テンペとパンのチーズグラタン(全10品)
標高970mの高原で育つビエタ、ビーツ、白花さや豆、ルバーブの夏料理。
イタリア白花さや豆のボイル、レモン風味
ビエタと帆立貝の白ごま風味
ビーツのホールスープ
ビーツときゅうりのヨーグルトサラダ
マスカルポーネのムース、ルバーブ添え(全10品)
香りが個性の根セロリとういきょう、秋の滋味ビーツの力強い料理。
ういきょうとみかんのサラダ
ういきょうのシチリア風パスタ
根セロリと冬野菜のカラメリゼ
蒸し野菜のバルサミコ風味、ビーツ茎葉ソース
ヨーグルトムース、ビーツソース添え (全10品)
冬越えの青菜、貯蔵で甘みを増す根菜、北イタリアの伝統食ポレンタ。
ルタバガの根と葉のパスタ
黒キャベツと鱈のトマト煮
パースニップとレーズンの炒め煮
パースニップとミントのフォカッチャ
ポレンタのゴルゴンゾーラ風味 (全10品)
アボカドは温め、苦瓜は煮て、豆は発芽させて。新しい味覚の発見。
レンズ豆スプラウトとナッツのサラダ
スプラウトと里芋のベシャメルソースグラタン
アドカドと小海老の微温パスタ
苦瓜とツナのフォカッチャ
苦瓜のバターケーキ、レモンアイシング(全11品)
素直でクセのないテンペと、個性を楽しむ生姜、みょうが、ハーブの回。
揚げテンペのシーザーズサラダ風
テンペと紫花豆と根菜のスパイス煮込み
揚げテンペのラタトゥイユ風
ハーブチーズ、ビエタのソテー添え
みょうがのガスパチョ(全11品)
日本の人に一年中好感度な栗と、秋のずいきや落花生を洋風に。
ずいきと菊花のカルピオーネ
ずいきと赤レンズ豆のスープ
栗と落花生とくわいのカラメリゼ
栗粉とレーズンのフォカッチャ
柿の焼込みタルト、メープルぶどう添え(全10品)
ほろ苦いイタリア野菜特集。紅色のラディッキオとアブラナ科青菜。
赤ラディッキオのグリル
ひたし豆とかき菜のスティアフライ
ケールと糠ほっけのパスタ
からし菜と羊乳チーズのサラダ
プチヴェールのヴァルテリーナ(全10品)
調整のため取り除く未熟の果実や花の蕾を季節素材として使用。
ミント風味グリーンバナナのフリッタータ
ひげつきヤングコーンのフリット
ヤングコーンのルラード、アスパラガスソース
花の香りのパスタ、柑きつ花クリームソース
花の香りのパスタ、豆の花クリームソース(全10品)
ユニークな栄養素を秘めた夏野菜、すべりひゆ、おかひじき、オクラ、モロヘイヤ。
すべりひゆのビネグレットあえ
すべりひゆのフリッタータ
おかひじきのフィロ巻きベイク
モロヘイヤのアラビアータ
オクラのルラード、生トマトソース(全10品)
次世代につながる生命、種子である穀物、豆、種実の特集。
生落花生のストロガノフ
ピッツォッケリ
丸小麦と白豆と赤茎ほうれん草の煮込み
栗とそばの実のリゾット
バニラ風味ミックスナッツのタルト(全11品)
磯辺の春は、生の海草が採れる時。あおさ、岩のり、ひじき、もずくを素材に。
岩海苔のパステッラ
白菜芯のサラダ、海藻ドレッシング
菊芋と黒キャベツのフィロパイスペルト小麦のスパゲッティ、もずくソース
あおさとドライトマトのフォカッチャ(全10品)
筍、アスパラ、山菜のつるなど、すくすく伸びる野菜が主役の素材。
淡竹と花山椒のレモンオリーブあえ
月山筍のリゾット
孟宗竹の丸筍オーブン焼き、ローズマリー風味
あけびのつると空芯菜のパスタ
山椒と昆布のフォカッチャ(全10品)
夏の畑で熟したトマトを様々な調理法で楽しみました。
パン・コン・トマテ
青トマトのフライ、赤トマトのベイク
混植米のサラダ、生トマトソースかけ
トマトのフォカッチャ
トマトのケーキ、トマトサルサ添え(全10品)
脇役、引き立て役が常のきのこを、香り・歯ざわり・うま味の主役に。
生きのことういきょうのアーモンド風味
きのこと芭蕉菜のフリッタータ
ポルチーニ茸のフリット
きのこのステーキ、アンチョビバター風味
干椎茸の煮込みパスタ(全10品)
乾物と保存食品で、料理の7割を構成する試み。他素材は青菜に限定。
六浄豆腐と干大根の柚子風味サラダ
かんぴょうと根菜のトマト煮
干湯葉のラザニア、雑穀ベシャルメソース
ひよこ豆と干鱈のショートパスタ
切干青パパイヤのアーモンドタルト(全10品)
野草、山菜は大地の息吹。豊かな日本の春の風土から。
春の野草のカルピオーネ
菜豆のカッテージチーズグラタン
菜豆と春はまぐりのブロデット
たらの芽とひしこ鰯のパスタ
わらびぜんまいのフォカッチャ、木芽風味(全9品)
胡瓜に西瓜、日本の夏は瓜が盛り。瓜と茄子をメインにした夏料理。
十全なすのハーブサラダ
大長ナスの筒揚げ、サルサ・ヴェルデ
干湯葉と糸南瓜の柑きつ風味サラダ
夏の実野菜のブロデット
なすチョコトルテ、バニラアイス添え(全9品)
芋、むかご、落花生、はす実など土と馴染んで育つ野菜を集めた最終回。
とれたての芋と豆、十月のブロデット
生落花生とにんじんのズペッタ
干芋と甘栗のフォカッチャ
白い芋と干果実のサラダ、アルガンオイル
さつま芋のバジリコサラダ(全11品)
料理は毎回10品。メインになる野菜料理と、フレキシブルな冷菜/温菜、パン、パスタ、デザートで構成されます。この研究会で作った全210品の料理を素材別にまとめ、栄養解説を加えたものが、本書「みんなの料理」です。家庭では日々のおかずに、レストランでは野菜料理の参考に、中食・外食産業ではヘルシーメニューの具体例に、これからの時代を生きる料理集として、お役に立つでしょう。